マイクロソフトは統合開発環境「Visual Studio」の最新版となる「Visual Studio 2022」の正式リリースを発表しました。
下記は正式リリースを発表した製品担当のAmanda Silver氏のツイートです。
Visual Studio 2022 is out! The 1st 64-bit release is the fastest yet. Goodies like Hot Reload for C# & C++, AI code completion and refactoring via IntelliCode, & better support for cross-plat apps with .NET MAUI and C++! #HappyCoding #VisualStudio2022 //t.co/OBlaaTHzGw
— Amanda Silver #BlackLivesStillMatter #ShiftLeft (@amandaksilver) November 8, 2021
64ビット化、ホットリロード、.NET 6対応など
Visual Studio 2022は、同製品としては初めて64ビットアプリケーションとしてアーキテクチャから再構成され、高速化と大規模メモリの利用が可能になりました。
もっとも大きな新機能は、アプリケーションを実行中にコードを変更すると、その変更が実行中のアプリケーションに反映される「ホットリロード」(Hot Reload)の強化でしょう。
アプリケーションを開発中のプログラマは、コードの一部を変更したあとにそのコードが意図した通りに動くかどうかを確認するためにアプリケーションを実行し、実行の様子を確認したら終了させ、またコードを変更し、また試しに実行してみる、といった操作を繰り返すことがよくあります。
ホットリロードは、いちいちコード変更とアプリケーションを実行を繰り返し行うことなく、アプリケーションを実行したままでコードの変更が反映されることで、いちいちアプリケーションを実行し、終了させるといった面倒な操作なく、継続してコーディングができるようになることを目指したものです。
Visual Studio 2022では、WPFやWinUI 3などXAMLを用いたアプリケーション、Windowsフォーム、ASP.NETのWebアプリケーション、Blazorサーバー、コンソールアプリなど、最新の.NETランタイムとVisual Studioデバッガを組み合わせて使用するほとんどすべてのタイプのアプリでホットリロードが動作すると説明されています。
今後はBlazor Wasmと、.NETのマルチプラットフォーム対応UIフレームワークである.NET MAUIのiOS/Androidアプリ開発での対応なども予定しているとのこと。
そのほか、1インスタンスのVisual Studioで複数のGitリポジトリを操作できるマルチリポジトリサポート、IntelliCodeの機能強化により1行全体までの自動補完、.NET 6対応など、多くの新機能が搭載されています。
.NET 6も正式リリース
同時に.NET 6の正式リリースも発表されました。
- マイクロソフト「.NET 6」正式リリース、.NETとして最初のLTS版。Win/Mac/iOS/Androidアプリを単一コードで記述可能に
「Visual Studio 2022」v17.2
- 窓の杜から
ダウンロード
米Microsoftは5月10日(現地時間)、統合開発環境「Visual Studio 2022」の最新版v17.2を公開した。このリリースで、コミュニティから寄せられた400以上ものフィードバックに対応。C#/.NET開発の継続的な改善、パフォーマンスの向上、C++開発機能の拡充、新しい「Azure」デプロイツールの提供などが行われている。また、v17.3 Preview 1の提供も開始されている。
なお、米国地域以外で「Visual Studio」などのアップデート処理に遅延や失敗が発生しているようだ。開発コミュニティで共有されている回避策を実行するか、問題が解決されるまでしばらく待つとよいだろう。
本バージョンにおける主な新機能は、以下の通り。
- ソースリンク:「NuGet」から追加した.NETアセンブリのソースコードを開発者がデバッグできるようにする
- 生文字列リテラル(raw string literal)のリファクタリング:「C# 11」で追加された生文字列リテラルを利用するように提案。JSONやXMLなどの複数行テキストをエスケープなしでソースコードに埋め込める
- 新しいIEnumerableデバッガー:コレクションをビジュアライズ。ソートやエクスポートも行える
- Razor エディターの強化:Razor記法のサポートが拡充され、リージョンの折り畳みやスニペットなどに対応
- Web Live Preview:ASP.NET Web Formsのデザイナーが刷新。最新のWeb技術をフルサポートし、ソースコードの変更をリアルタイムで反映。見本データではなく「生の」データでプレビューできるなどより強力に
- Azure:「Azure Container Apps」対応をはじめとするさまざまな改善
- C++:「C++ 20」モジュールのサポートを「Visual Studio」の「CMake」に追加。組み込み開発者向け機能のユーザービリティも改善
- Git:コミットグラフを統合。パフォーマンスも向上
生文字列リテラルのリファクタリング。不要になるエスケープが示される
IEnumerableコレクションのビジュアライズ
なお、v17.2は「Visual Studio 2022」で2番目の「LTSC」(長期サービス)チャネルとなる。「Enterprise」もしくは「Professional」エディションであれば、チャネルを「Current」から「LTSC」に切り替えることで18カ月間、v17.2系を使い続けることができる。
「Visual Studio 2022」v17.1
米Microsoftは2月15日(現地時間)、統合開発環境「Visual Studio 2022」の最新版v17.1を公開した。昨年11月にリリースされて以来、初めてのマイナーアップデートとなる。
「Visual Studio 2022」は、64bit化された初めての「Visual Studio」。Windows環境で.NET/C++を用いたデスクトップ・モバイル・Webアプリの開発などが行える。大規模チーム向けの「Enterprise」、小規模チーム向けの「Professional」に加え、学生・入門者・オープンソース貢献者向けに無償提供されている「Community」の3エディション用意されており、現在「visualstudio.microsoft.com」からダウンロード可能。Mac版は現在、正式リリースに向けプレビューテスト中だ。
v17.1における変更は多岐にわたる。なかでもインデックス付きのファイル内検索が既定で有効化され、検索結果が高速に表示されるようになった点や、「Visual Studio」あフォーカスを失うたびにコードファイルを自動で保存する機能(既定で無効)が導入されたのは、生産性の向上に役立ちそうだ。
また、統合「Git」機能も強化され、デタッチドヘッド(detached head)の対応が拡充。現在のブランチとリポジトリ内の他のブランチを比較できるようになり、プルリクエストやブランチ削除の準備をしながらブランチを管理するのが容易になった。コミットをチェックアウトしたり、任意のリモートブランチのヘッドをチェックアウトするのも簡単だ。
そのほかにも、ソリューションの必要な部分だけを素早く読み込めるソリューションフィルターなどが新たに導入されているとのこと。組み込み・リアルタイムOSにおけるC++言語開発に便利な機能も追加されている。
すでに「Visual Studio 2022」を利用中の場合は、[ヘルプ]-[更新プログラムの確認]機能から最新版へのアップデートが可能。本バージョンではインストール後に必要な再起動の回数も削減されている。
[ヘルプ]-[更新プログラムの確認]機能から最新版へのアップデートが可能
なお、前バージョンのv17.0は「LTSC」(長期サービス)チャネルで提供が続けられる。「Enterprise」「Professional」の両エディションならば、「Visual Studio 2022」を「Current」から「LTSC」チャネルに切り替え、18カ月間マイナーアップデートを行わずに利用できる。「Community」エディションでセキュリティパッチを含むサポートを受ける場合は、v17.1へのアップデートが必要だ。